9/18/2016

竹箸と秋雨

雨の多い夏でした。

梅雨が長く、ようやく明けてからも「真夏」というほどのギラギラした晴天の日は、数えるほどだった気がします。夏に忘れたぶんの日差しを、九月に届けてくれるのかと思いきや、日差しは忘れたまま、秋雨だけは忘れず降らせるというわけで、相変わらず雨続きの九月です。

竹の道具は、木材のように湿度や温度の変化で狂うことはほとんどありませんが、湿気がこもったままになると、カビが生える恐れがあります。以前にも記しましたように、竹箸など肉厚の素材でかつ断面積の広いものは、要注意。

日々、使って洗っているものは水分がこもらないように、よく乾かすのはもちろんのこと、買いたてのお箸、夏休みに自分で削ったお箸など、新しいものも注意が必要です。台所の引き出しなどに大事にしまったままにしておくと、かえってカビが生えてしまうことがあります。

使っている箸、使っていない箸とも、ときどき状態を確認して、乾いた布で拭くなどすると、水分の溜まる微細なホコリを取り払うと同時に竹の繊維もつまってきて、だんだんと竹がこなれてきます。




写真は白竹の箸と、拭き漆を施した煤竹の箸。

漆と煤竹の深い艶も良いですが、なにも塗らない白竹の清潔な肌も捨てがたく、また漆を施さない竹は繊維が滑り止めとなる実用面でのメリットもあります。

ただ、近年は温暖化というより高温多湿化というような、気候の根本的な変動が感じられ、気候変動のなかでの道具のあり方について、考え直すことも増えてきました。

よい竹と、そこから作られるよい道具。「よい」のあり方とその基準は、一方向の単純なものではなく、日々変化する環境と時間の移り変わりを見ながら対応してゆくことが、「よい」に近づくひとつのあり方であるとおもいます。

話がだんだん大きくなってきました。

書きたかったことは、この雨はまだしばらく続きそうですので、お手元の竹の道具について、ぜひよく見て、よく手をかけていただければということでした。雨が止んで、晴天の秋が訪れるのが、日々の暮らしのうえでもいちばん良いのですが。。。


お引き受けしております、白竹の箸と煤竹の箸は来月はじめから中旬にかけて、順次お届けしてまいります。