1/31/2017

『あの竹この竹』最終回が掲載されました。

1月31日。晴れ。北風は依然強く

すでにお伝えしましたとおり、4年半余りつづけたウェブ連載『あの竹この竹』を第45回で終えます。その最終回が『チルチンびと広場』のサイトに掲載されましたので、お知らせいたします。

『あの竹この竹』第45回「竹籠の前後に時は流れる


『あの竹この竹』第45回の記事
『あの竹この竹』第45回の記事


毎月一回、途中からは隔月での連載を4年半、都合によりお休みさせていただいた月もありますが、締切りどおりに文章と画像を用意して記事を納めることの継続は、本業とはまたべつな「つくる」訓練としてよい勉強になりました。

またひとつ区切りがついて、本業の「つくる」へますます力を集中します。


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1/30/2017

北風の会合へ

1月30日。晴れ。昼は暖かく、夕方よりは猛烈な北風が吹く


夜、向かい風を切って北へ。ある会合に出かけるために。

それぞれには、ときどき顔を合わせていつつも、全員が揃ったのは久しぶりのこと。近況を報告し合いながら数時間を過ごしました。

ひとりひとり、この場の全員にとって2016年は激動の年でしたね。ある人が言いました。ほんとうにその通りだとおもいます。

おもいますが、わたしにとっての2016年は自分の内面の変化ほどには、表に現れる部分が変わったようには考えていません。また、比べるものではないと知りつつ、その場にいたわたし以外の人々の激動ぶりに比べれば、まるで止まって見えるほどの動きだともおもいます。動きが見えるとすれば、きっとこれからになるでしょう。

ともかくも、わたしにとっても喜ばしい色々の近況と展望とを耳にして、もと来た道を、今度は追い風を受けながら南へと帰りました。



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1/29/2017

親方と風車小屋、あるいは時代錯誤の戦いについて

1月29日。晴れ

子どもの頃、こんな人形劇を見ました。

おそらく教育テレビ(いまのEテレ)で放映されたと思しきその物語は、子ども向けの番組を繰り返し録画したビデオテープに保存されていて、何度も何度も目にしたものです。

......ある川のほとりに、水車小屋を守る粉ひきの親方がいました。親方は老いてなお筋骨隆々、三つの粉袋を背負うロバと、ロバの綱を引く少年を従えて、二人と一頭で一生懸命に働いています。

ところがある日、近くに大きな製粉工場ができました。産業革命を成し遂げた一本の煙突からは絶えず煙が立ちのぼり、親方の仕事を少しずつ奪ってゆきます。それでも「俺がコウバに負けるとおもうか!」熟練の自信に裏打ちされた親方の言葉に、少年とロバは「うーうん(ヒヒーン)」と首を強く振り、親方の力を信じてついてゆきます。

「でも親方、きょうは袋がふたつだけ。ぼく心配だなあ」

少年が心配したとおり、工場には二本目の煙突が立ち、また親方の仕事は少し減ります。「俺がコウバに負けるとおもうか!」......今度は少年とロバも首をかしげて返事ができません。「なんだと!」親方の怒気に気圧されて、疑問を抱きつつもふたたび「うーうん(ヒヒーン)」。

「でも親方、きょうは袋がたったひとつ。ぼく心配だなあ」

じつは親方自身も、徐々に自信を失いかけているようです。



ヨースト・アマンの木版画による「粉ひき」
ヨースト・アマンの木版画による「粉ひき」


ついに三本目の煙突が立ちました。とうとう粉ひきの仕事は来なくなり、親方はガックリと肩を落として川辺を彷徨っています......

録画された映像はここでプッツリと途切れ、代わりに「ヤッフーボーンク!フーヒーヒー♪」という場ちがいに陽気な『みんなのうた』に切り替わりました。親方がどうなったのか、少年とロバがどうなったのか、私は知りません。

知りませんが、実際の歴史を考えれば、大逆転の可能性はなかろうことが想像されます。けれども、ひょっとすると風車小屋はまだ川のほとりに立ちつづけて、粉ひきとは別な役目を与えられているかも知れません。風車小屋が姿を消すにつれ、生き残った風車小屋の価値は高まり、粉を碾かなくなってからこそ多くの人が訪れる、そんなこともあり得ます。

* * *

わたしがいまの仕事を進路に選んでより長らく、他ならぬ「親方」のような老練の作り手の方々から、この仕事は先細りであること、よい時代はすでに終わったこと、それゆえ仕事にはせず趣味にとどめたほうが良いこと、そういった「少年の心配」にも似た忠告を繰り返しいただきました。

いっぽうで、べつな方からは、これからさき竹工芸の作家として生き残れるのは五人である、あなたはその一人になれる力があるから頑張ってほしい、そんな言葉も頂きました。


風車のよき時代は終わりましたが、最後まで立ちつづけた風車には、その時代ごとの新鮮な風が吹いて、時代錯誤の存在であっても役目の消え去ることはない。親方と風車小屋の物語をときどき思い出しながら、風車を守る道筋を探しています。


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1/28/2017

1月28日

1月28日。晴れ。風弱くあたたかい日和

きょうは休日。茶室などいくつかの建築物を見に出かけました。近ごろは体調を崩している方が、周りにずいぶん多い様子なので、私もよくよく気をつけたいとおもいます。

天気だけ記して、あすの支度をします。



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1/27/2017

1月27日

1月27日。曇り。南風がなまあたたかい

淡々と、やるべきことを進めます。
1月は残り4日になりました。


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1/26/2017

一月の末は気忙しい

1月26日。晴れ

ことし最初の月は、あと5日ほど。

正月は一年のうちで、もっともゆったりした時間が流れる時期なのに、おなじ月でも一月末は反対にもっとも気忙しい時期という気がします。つぎの二月は、ほかの月よりもずっと少ない時間しかないので、一月のうちに少しでも時間を稼ぎたいと気持ちが焦るものでしょうか。

そして、一月末がもっとも気忙しいと記したことも来月にはすっかり忘れ、28日間しかない二月こそ気忙しいと、また記すのかもしれません。そういえば年末の十二月も負けず劣らず......

「気忙しい」という言葉が示すように、きっと気の持ちようと考えて、なるべくせわしさを面に出さないよう心がけたいものです。

さて、ここまで記せば、およそ察しのつかれるところとおもいますが、きょうは画像がありません。


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1/25/2017

静かに削る。整える。

1月25日。晴れ

二つ目の月がちかづいています。

昨日、お伝えしましたように、4年半つづけたチルチンびと広場での連載コラムを終えることにしました。年末から年始にかけての時間で、ほかにも幾つかを止めることに。ひとつひとつ、きちんと終えることをしながら、つぎに進む支度を整えています。


小刀で白竹を削る
小刀で白竹を削る

定番の煤竹の菓子切りのほかにも、あたらしい道具を削っています。延び延びになっていましたが、間もなくお見せすることができます。

春にかけて、つくりたいものが沢山あります。幾つかのお店を通じて、それらをお届けできることを楽しみに、つくるに一層専念します。春を迎えるまでの時間は、淡々としかもあっという間に過ぎてゆくような。


Just shape......静かに削る。整える。



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1/24/2017

チルチンびと広場でのコラム「あの竹この竹」は最終回へ

1月24日。晴れ。結氷する寒い朝

こんばんは。きょうはお知らせがひとつございます。

ながらく執筆させていただいた、チルチンびと広場でのウェブ連載コラム『あの竹この竹』を、次の第45回をもって終えることに致しました。

風土社の季刊雑誌『チルチンびと』から派生した、住まいと暮らしの生活情報サイト「チルチンびと広場」で連載がスタートしたのは2012年の6月のこと。当初は毎月、途中からは隔月にしていただき、約4年半に及ぶ連載をつづけてきました。

竹をテーマにして、ペースも内容も一定に保ちながら、記事を「つくる」ことを長期にわたって継続する機会を与えられたことは、私にとって得がたい経験でありました。本業以外に毎月の締切を抱えることで、段取りを整えつつ、時期や状況に応じてそれを変更したりという、ものづくりに通底する動き方の訓練ともなった気がします。

今後も続ける選択肢ももちろんありましたが、一旦立ち止まって考えた結果、そのために少なからず費やす時間や力を、ことしは本業である竹の仕事での「つくる」に全て注ぎたいと考え、つぎの更新で筆を措くことにしました。



コラム『あの竹この竹』トップ画像
コラム『あの竹この竹』トップ画像


2012年6月というと、私が竹工芸の道を志してから丸十年、新たな一歩を踏み出しはじめた時期です。その春、すでに同サイトでコラム『タイルびと ~思考と文様のはざまで~ 』を執筆されていた、異能のタイル職人 白石普さんからアトリエへお誘いいただき、コラムの執筆を勧めていただいたのが、『あの竹この竹』誕生のきっかけです。

4年半余り、習慣のようになった連載を終えるのは、さびしいような気持ちもありつつ、つぎの新しい一歩への希望も同時に抱いています。第45回の『あの竹この竹』は、おそらく今月中の掲載予定。その際には改めてお知らせをいたします。

長い間、お読みくださった皆さま、連載をお支えくださった方々に御礼申し上げます。ありがとうございました。なお、このブログは今後もなるべく毎日をつづけますので、ひきつづきお付き合いをお願い申し上げます。



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1/23/2017

滅びへと向う時間

1月23日。晴れ。寒気と北風が戻る


ひと月ほど水栽培をしているヒアシンス。
白い花がこれ以上に開くことも、一層の香りを誇ることも、もうなさそうです。


ヒアシンスの白い花はピークを越え
ヒアシンスの白い花はピークを越え


日々、止まることのなかった
成長の季節を過ぎて
ゆっくり滅びへと向う時間も
また美しい


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1/22/2017

名もなき庭

1月22日。晴れ

きのうよりは風が弱く、空気もずいぶん暖かく感じられる日でした。

ただでさえ体を動かす機会の少ない日々を送っていますので、用事がなくともときどきは、よく言えば散歩、わくる言えば徘徊をする必要を感じます。きょうはその散歩に打ってつけの日より。



コンクリートの隙間に苔の箱庭
コンクリートの隙間に苔の箱庭


砂利まじりのコンクリートの隙間にできた苔の箱庭。

名のある庭師が作庭したわけでもなく、拝観料もいらず、そして自然の景観でもないものながら、なにかしら美しいと感じさせるものがあります。



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1/21/2017

参詣をする

1月21日。晴れ。北風のつよい日

新年の早いうちから仕事をはじめたこともあり、初詣にゆく機会を逃していました。

お世話になった方々や、よく足を運ぶお店など、神様よりもさきに人々のところへ顔を見せに、あるいは挨拶をしにゆくことが先になりましたが、ようやく機会を得て神社へ。



北の風がつくった青空のもとで初詣
北の風がつくった青空のもとで初詣


例年、ここと決まった場所はありませんが、どこであっても年のはじまりに神仏に対して手を合わせる時間があると、心が安らぎます。自分自身と身の回りの幸運な一年について、よくよくお礼を申し上げておきました。

するべきことをなしたので、ことしもすっかり安心して、無事の一年をすごします。


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1/20/2017

磨いた青竹を割って竹ひごに。青竹の籠をつくる

1月20日。曇り、ときどき小雨と小雪

先週、青竹を磨く(表皮をきれいに削る)ことについて記しました。そうして磨いた青竹を割り、薄く剥いで、竹籠の材料となる細い竹ひごをつくります。


磨いた青竹を細い竹ひごに
磨いた青竹を細い竹ひごに

うぐいす色の竹ひごに、少し白っぽいところが点々とあります。ここが節です。節も同様に磨くのですが、ここを真っ平らに削ると強度がなくなってしまうので、節の凸形に沿ってあくまでも皮一枚を削ります。


一本ずつおなじ幅に整えて、面取りもしました。あとはもう少し薄く整えれば竹ひごの完成です。はやく籠を編みたい気持ちがありますが、ほかの仕事が先ですので、隙間の時間を見つけながら少しずつ進めます。


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1/19/2017

竹籠や菓子切り、定番をつくる

1月19日。晴れ

1月はなにかと用事の多い時間を過ごしています。それももうじき一段落して、迎える下旬は籠づくりや菓子切りづくり、そのほか仕事を全力で進めます。


「散歩者の籠」の縁を仕上げます
「散歩者の籠」の縁を仕上げます

文庫本や新書のサイズを意識してつくっている「散歩者の籠」は、わたしのあたらしい定番になりつつあります。今年も大量生産するつもりはありませんし、しようと思ってもできませんが、一点ずつ、かつ手を止めず地道につくります。

定番品の菓子切りも、より多くの方に手にとっていただけるよう準備しています。昨年から準備しているあたらしい道具も、来月にはお知らせができそうですし、それも定番に育ってゆくことを期待しています。

今年はブログをなるべく毎日更新しますと記して、結局「なるべく」どころか完全に毎日になっている、これまでのところ。だんだんとリズムになり定番になりそうな予感をもちつつ、サラリサラリと記すよう心がけて、つづけます。


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1/18/2017

第4回「作用」展から展覧会「生活工芸と作用」へ

1月18日。晴れ。寒波はやや遠ざかる。


吉祥寺のOUTBOUNDにて、一昨日まで行われていた展示へ足を運びました。

第4回「作用」展

おととしの第2回から、第3回、そして今回と出かけています。一体どのような展示であるのか、わたしには言語で伝えることができませんので、OUTBOUNDのウェブサイトのリンクを貼ります。OUTBOUND News


第4回「作用」展 at OUTBOUND
第4回「作用」展 at OUTBOUND


展示のはじまりに伺って、予約をしておいた木下宝さんのガラス作品を、展示最終日に受け取りに行き、いまはそれが手元にあります。


きょうから、神楽坂にある la kagu 2F soko にて、青花の会による展覧会「生活工芸と作用」がはじまりました。

生活工芸の出展者に岐阜のギャルリももぐさと三重のgallery yamahon、作用を体現する出展者にいずれも東京のGallery SUとOUTBOUND、四つのギャラリーないしお店が名を連ねています。2月15日までの会期に合計500点ほどが展示されるそうです。

そちらの会場にも初日のきょう足を運び、「生活工芸から作用へ」という対談の後半に耳を傾けて、展示を拝見してきました。


OUTBOUNDですでに目にしている造形物も、場所がかわればその意味がかわり、Gallery SUの出品作との並び、あるいは生活工芸の器との対比、それら相互の「作用」など、またちがった見え方がします。


……わたしは、吉祥寺のOUTBOUNDから、ガラスの球といくばくかの何かを持ち帰りました。その作用がいかなるものであるのか、直接に表へあらわれることはありませんが、目に見えなくとも、たしかにそこにある、それが作用というものかもしれません。



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1/17/2017

Shadow Basketry

1月17日。快晴


Shadow Baskety
Shadow Basketry


砂地に描かれた千筋の籠

横から眺め
上より見下ろし
籠のなかに飛び込み
線を付け加える

しばし遊んでのち
見なおした籠は

さっきとは編みかたがちがうようだ



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1/16/2017

扉と光

1月16日。晴れ。東京の最低気温は氷点下に。



冬の光と道の影
冬の光


叩くことはないと考えていた扉のまえに立ち
そのドアをノックする

扉はひらき
まだ通ったことのないあたらしい道を
西の光が差すのを見た


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1/15/2017

竹の節々、残すか残さぬか

1月15日。晴れ

ひきつづき寒波に覆われた東京は、昨日よりもいっそう冷え込みが強くなり、戸外の水面には氷が張りました。


半割りをした竹、内側の節々と影
半割りをした竹、内側の節々と影


竹籠を作るときには、必要な長さに切りそろえた竹をまず鉈で半分に割り、そこから順に細かな竹ひごへと加工してゆきます。写真は半分に割った竹の内側です。

今回はたまたま、節の内側にある壁のような仕切りの部分が、キレイに半分に割れました。上の四つはやや斜めに傾き、下の二つはきれいな水平の形をしています。こうした形は竹によって様々で、凹型をしていたり凸型をしていることも。

節の形が様々であるように、その割れ方も様々、ときによっては歪な形状になることもあります。籠を作るときにはその形状についてあまり気にする必要はありませんが、たとえば節を残した半割りの竹の形をそのまま器に仕立てる場合には、運任せで割るわけにはゆきません。

そうした時には、鋸で地道に縦半分に切断します。一瞬の仕事のように見えても、実際には想像の何倍もの手間が掛けられているということは、竹工芸の仕事にかぎらず、世の中にはたくさんあるのだろうと、自分の仕事を通じて想像しています。



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1/14/2017

磨いた青竹、籠づくりの形

1月14日。曇りのち晴れ

きょうの東京は冷え込んで、ところによっては雪の舞うこともあったようです。日が落ちて、ますます寒くなってきました。

きのうのブログには、青竹を磨く(表皮を削る)ところを掲載しました。きょうは、磨くことで生まれる形を。


青竹を磨くなかで生まれる形
青竹を磨くなかで生まれる形


写真だと、ほうれん草やバジルを混ぜ込んだパスタのようにも見えますね。実際の見た目は、和風でたとえると、とろろ昆布に近いでしょうか。(例えが食べ物になってしまうのは、お腹が空いているせいです

今回の磨きでは、湾曲した両手つきの刃物を扱っていますが、片手で扱う小刀で磨くこともあります。道具を変えると竹の仕上がりも微妙に変わり、そこから編まれる籠の形も変わります。

微妙な差の積み重ねで、できあがる籠にも個性が宿り、その籠をつかう人、置かれる場所によって、またそれぞれに籠は育ち、あるいは朽ちてゆきます。


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1/13/2017

青竹を磨く、籠づくりの音

1月13日。晴れのち曇り

昨年の末に手に入れた青竹を磨く工程。

「竹を磨く」といった場合には、竹の表皮を刃物で削り落とすという意味があります。

磨くときには、写真のような刃物を用います。湾曲した刃の両端についた木製の柄を握り、竹の表皮の上を、向こうから手前にかけて刃物で一気に削って、硬い表皮の一枚下の繊維を露出させる、これが竹の磨きです。


湾曲した刃物で青竹の表皮を磨く
湾曲した刃物で青竹の表皮を磨く


桶などを作る木工の職人さんも、似たような刃物を使う場合があるようですね。

青竹を用いて籠を作る場合には、この磨きを経た竹ひごを用いて籠を編むことが多いです。そうすることで余計な水分・油分などが抜けやすくなり、磨かない場合よりも籠が早くなじみ、色艶もよりよくなることが期待できます。

竹籠づくりにおいては、竹を割るときにパンッ、あるいはパキパキ、ペキペキ、ミシミシなど、いろいろの音が出ます。磨く場合には、シャーというかサーというか、割るときよりも少し息の長い、独特の摩擦音が出ます。

磨きの音は、季節で言えば夏よりも、寒い冬に相応しいような気がします。


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1/12/2017

空に月、内に竹、ふたつの円相を奏でる

1月12日。快晴

蟹座の満月が見えます。

去年の夏から秋にかけての東京はずっと雨つづき。そのぶんの晴天が一気に訪れているような、一月の空です。



乾いた白竹の円相が控えています
乾いた白竹の円相が控えています


澄んだ夜空に満月、室内には乾いた白竹、ふたつの円相の奏でられる一月の晴天の夜。あと幾つかの文字を打ち込んだらば、また竹を削る仕事に戻ります。



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1/11/2017

網代編みの小さな花籠

1月11日。快晴

昨日のブログに、今年のおおまかな予定について記しました。

そこには幾つかの小さな一輪挿しの花籠も載せています。大きさのイメージをつかみづらい写真だったように思いますので、右下に写っていた網代編みの小さな花籠をあらためて今日は載せます。


網代に編んだ一輪挿しの掛け花籠
網代に編んだ一輪挿しの掛け花籠


手のひらと指を丸めて作った輪に収まるくらいの直径の、ずいぶん小ぶりの籠です。ほかの三つの籠はさらに小さく作ってあります。

以前はこうしたごく小さな掛け花籠を好んで作っていました。背面には釘に掛けるための輪を編んであります。

細く割った竹ひごを色濃く染め、こまかに編み上げて、要所の仕上げをしてから拭き漆で仕上げる工程は、小さくとも手間暇のかかるもので、なかなかたくさん作ることはできません。

しばらくは展示を控えることにしましたので、こうした小さな籠を、花の季節を思い浮かべながら、ひとつひとつ育てます。


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1/10/2017

竹籠いろいろ、2017年の心づもり

1月10日。快晴

晴天が戻り、あたたかい日和です。

昨秋の展示『3時の港』の前後にお受けした竹籠などのご注文品を、順にお納めしながら、春以降への仕度を静かにすすめています。昨年のご注文品は、蓋物など特殊な品をのぞいて、今月の間にほぼお納めできそうな見通しになりました。

2017年も、これまでの歩みを継続しますが、年始ということでざっとした心づもりを記します。春へ向けてつくっている籠もちらりと。


◯ 今年のテーマは「委ねる」こと

実験的な小規模の展示をしばらく重ねてきました。ギャラリーでない場所をふくめ、それぞれ性質の異なる場所で何ができるのか、時には竹工家としての職能の範囲を逸脱しつつ、時に応じ場に応じながら、主体的に試みてきました。今年はそうした試みを、あえて少し控えてみようとおもいます。

つぎの展示の予定について、しばしばお尋ねいただくのですが、しばらくは自分で展示の企画はしません。

自分自身で企画するのは面白いですし、自分で決めたい気質でもありますが、ひとつ区切りをつけ、竹工家としての「つくる」ことに専念して、そのほかのことはできるだけ「任せ」「委ねる」を心がけます。


おもに三つの軸は……

1. 取扱店での常設展示・販売品の充実

2. HPからのお問い合わせ によるご注文品の制作

3. お声がけ頂いた展示や企画への出展と対応

この三つを柱としながら、+α で、依頼によらない私自身の作品制作を並行して行いたいと考えています。


実店舗で籠や菓子切の実物を見たい、というお問い合わせが増えています。まず、現在の取扱店(美術工芸は東京で、暮らしの道具は名古屋に)への納品をより充実させます。また、今のことろ東京では拙作の日用品を常設展示していただくお店がありませんけれども、そうした機会がもし得られた場合には、改めてここでお伝えします。

お声がけいただいた展示への参加については、2017年1月現在、4月と10月にひとつずつの予定があります。4月以降、初夏から秋にかけても、ほかにもお声がけがあれば、何かしら参加することになるのではないでしょうか。

個展については具体的な予定はありませんが、秋以降から来年の春にかけて、できれば性質の異なる形で、一週間ほどの展示を二回できれば良いなと、なんとなく考えています。その準備のためにも、そのほかのことはなるべく「委ねる」ことを心がけて。



一輪挿しの小さな掛け花籠いろいろ
一輪挿しの小さな掛け花籠いろいろ


春に向けて、写真のような一輪挿しの花籠、花入をつくっています。そして、小さな手提げの「散歩者の籠」も少しずつ。

こうして予定らしきものを記してみて、きっと予定外の面白いできごとが色々と起こるであろうことも想像しながら、しばらくは静かに淡々とつくりつづけます。ブログは今後もできるかぎり毎日更新しますし、HPも少しずつ手を加えておりますので、ときどき覗いていただければ幸いです。

あらためて、本年もよろしくお願い致します。

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1/09/2017

成人の日は明日に向って撃て!

1月9日。雨のち晴れ

きょう、成人の日は雨降りではじまって、湿り気を帯びつつも光の戻った午後の空は、乾いた晴天とはまた違うグラデーションを見せています。

私にとっての成人式は2000年のこと。かれこれ17年前になります。「式」や「日」について、とくべつな思い出はありません。その代わり、小学校の旧友と三人で写真館へ記念写真を撮りに行ったことはよく覚えています。

同じ幼稚園を卒業したK君、そして小学3年生でKと共にクラスメイトとなるM君との三人で、私たちは代官山の写真館へ赴いたのでした。

映画『明日に向って撃て!』における主演三人(ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス)の記念写真をイメージした写真を撮ろうと、一人が椅子に腰掛けて二人が後ろに並ぶ、セピア色の写真をお願いしました。

乗り気だったのは主に私と映画好きのKであって、なぜかキャサリン・ロスの位置に立たされるMは、幼馴染のよしみで渋々付き合ってくれたのが本当のところでしょう。いまから思い返すと、狙いのよく分からない謎のイベントですが、若さとはそういうものだろうねと、ここは開き直っておきます。



雑誌『CUT』2000年1月号表紙
雑誌『CUT』2000年1月号表紙

当時を思い出して、雑誌『CUT』2000年1月号の表紙を。

1999年末に公開された、デビッド・フィンチャー監督作、ブラッド・ピット主演の映画『ファイト・クラブ』が話題となった、20世紀最後の年の1月のこと。

この2000年の早春にイギリスへ一人旅をしたのを最後に、ずっと日本の外へでなかった私が、2016年の末になって久しぶりに国外へ渡航したこと、こうして成人の日のことを今さら記していること、つながりがありそうですし、私の中の歴史が一巡して次へ進もうとしているような気がします。


きょうは2017年の成人の日。新成人の皆様、おめでとうございます。


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1/08/2017

最初の雨と休日の時間

1月8日。曇りのち雨

元日から一週間、晴天のつづいた東京にことし最初の雨が降りました。冷たい風も吹いています。

そんな今日、休日の時間を過ごしました。


六つ目の籠目の籠と影
六つ目の籠目の籠と影


冷え切った左手で傘をつかみつつ、右手で開いた扉からすべり込む夕方のカフェで、迎えてくれるいつもの笑顔が、いつも以上にあたたかく感じられるのは、きらいなはずの冬の雨のお陰も。

明日、戻ってくるらしい晴天に合わせて、わたしも仕事に戻ります。


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1/07/2017

朝の気は鋭、昼の気は惰。

1月7日。快晴

東京は元日より一週間つづけての晴天で、空気はますます冷えています。

霜柱のまだ固い日の出まえからの用事を終えて少しの仕事を挟み、午後の用事へ出かけるまでにごく軽く含んだパンが胃に落ち着くのも待たず、パン切り包丁をサッと水洗い。

忙しい気持ちで動かした右手の親指を、サッと刃物で切りました。鋭利な刃物で切ったのが幸い、痛みもありませんし、血もすでに止まったようです。焦りは禁物という教訓を、大事に至らない程度の痛みとともに、こうしてときどき思い出します。

気をつけているつもりでも、時に訪れる油断を全くなくするほどには、なかなか成長できません。



日々成長する水栽培のヒアシンス
日々成長する水栽培のヒアシンス


水栽培のヒアシンスの花が、日に日に開いてきました。

朝から昼へ、昼よりつぎの朝へ、少しの水と光で確実に成長するさまを、この球根植物は見せてくれます。



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1/06/2017

新宿伊勢丹、2017年の門松を訪ねる

1月6日。快晴

快晴のつづく新年の東京。町の外へ出かける機会のないまま正月が過ぎてゆくかとおもいきや、新宿へ出掛ける用事ができました。

せっかくの機会ですので、通り道だけは、ざっと門松探訪を。

紀伊国屋書店本店やマルイ、そのほか幾つかの商業施設の玄関口には、今年もしっかりと門松の姿があるのは嬉しいもの。ずいぶん早くより飾られながらイベント後には一夜にして片付けられるクリスマスの装飾と、元日よりもあとへつづく正月飾りの余韻、その対照も面白いですね。

本年もやはり新宿伊勢丹の門松は大きく立派でした。



新宿伊勢丹、2017年正月の門松
新宿伊勢丹、2017年正月の門松

人の背丈の倍ほどの高さ、先端部分は節の部分を水平に切った寸切に仕上げられています。素材のマダケはたいへん太くて真っ直ぐの良材で、おそらく青竹の表皮に油などを拭き込んで水分の抜けないよう、手を施したように見受けられます。

竹の先端の仕上げについて、斜めに削ぎ切りにする形(紀伊国屋はこちらでした)と、伊勢丹のような寸切りと、どちらもそれぞれに見応えがありますが、節を残して寸切りにするほうが水分が抜けにくいので、青みが残りやすいのではないでしょうか。

斜めに切ったタイプでは、切り口の白が青竹の色と対照し、天を突くような鋭さもまた、キリッとした正月の空気に似合います。

南口の高島屋や西口の京王百貨店などのほうまで回る時間がなく、写真を撮ったのもここだけですが、ぎりぎり見られて良かったです。おそらく明日7日までは、門松が見られると思いますので、ご用事のついでに探訪してみるのも面白いのではないでしょうか。


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1/05/2017

青竹が小寒を清める

1月5日。快晴

よく晴れて暖かな正月の空気は、晴天はそのままに今日から急に冷え込んでまいりました。小寒というだけのことはあります。

きょう、あるいは昨日あたりから、仕事はじめの方が多いようで、正月気分はすっかり抜けたような。とはいえ、街角にはまだ門松が見られ、冷えた空気は数日前よりもむしろ正月らしい気もします。

私は仕事として門松づくりはしないものの、年末にわずかながら手伝い仕事で青竹を扱い、ほんの少し、ふだんは手に入らない伐りたての青竹を頂きました。水気も少しずつ抜けてきたので、なにか籠を作ろうかと思案しているところ。


右の二本は洗い清めたマダケの青竹


左が洗うまえ。洗い清めた右の二本は、照りつつもしっとりとして、これ以上手を加えずとも美しいとおもえる青竹ならではの色です。

といっても青竹は生もの。このまま置いておけば夏には腐ってしまいます。籠づくりに用いるための青竹は、秋から冬に伐り出され、青竹のまま保存する場合には気温の上がる初夏までに使われます。長期保存する場合には油抜きをして白竹にするなど、人がなんらかの手を加えます。

今回は青竹のまま籠を編むつもりで、どんな籠にするのかは、やるべき仕事を進めながら、三本の青竹としばし相談します。

1/04/2017

RAUM - HYAZINTH

1月4日。快晴

あたたかな正月です。

水栽培をしているヒアシンスの花が、ずいぶん開いてきました。



ガラス器に古物の漏斗、その上に球根のヒアシンス


ガラスの器に古物の漏斗を乗せ、浅い水たまりとなった窪みにヒアシンスを安置しています。アルミの漏斗の先は、欠け、摩滅してほどよく短くなっているのが球根の水栽培には好都合です。

たったひとつの球根でも、日々刻々と成長する植物の姿を目にし、香りに触れると、じぶんも生きているという実感があり、止まっているかのような冬の時間も確実に進んでいるのだと知らされます。

......ところで、戦前の詩人で建築家を志望していた立原道造の構想による、ヒアシンスハウス(風信子荘|HAUS-HYAZINTH)というワンルームの小さな家のことを、いま急に思い出しました。

夭逝した彼自身がその週末住宅を実現することはできませんでしたが、さいたま市の別所沼のほとりには、彼の構想を形にしたヒアシンスハウスが2004年に建てられたそうです。

ことしは東京の外へ出かける機会を多く持ちたいと考えているところ。せっかく思い出したのですから、ヒアシンスの部屋から飛び出して、小屋のようなそのハウスへきっと足を運ぶことになるでしょう。


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